
お釈迦様が極楽の蓮池のほとりを散歩していたとき、池の底に透けて見える地獄の底で、大泥棒のカンダタが他の罪人たちと苦しんでいる姿を目にしました。カンダタは人殺しや放火など悪事を重ねた男でしたが、かつて一匹の蜘蛛を踏み殺そうとして思いとどまり、助けたという唯一の善行がありました。お釈迦様はその善行を思い出し、カンダタを地獄から救い出そうと考えました。そして、蓮の葉の上にいた極楽の蜘蛛が紡いだ銀色の糸を手に取り、地獄の底へまっすぐに垂らしました。地獄の血の池で苦しんでいたカンダタは、その蜘蛛の糸を見つけ、喜んで掴み、必死に登り始めました。しかし、途中で休んで下を見ると、無数の罪人たちが自分の後を追って登ってきていました。自分だけ助かろうとしたカンダタは「この糸は俺のものだ。降りろ!」と叫びました。その瞬間、蜘蛛の糸は切れ、カンダタは再び地獄の底へ落ちていきました。お釈迦様は悲しそうな顔でこの一部始終を見守り、カンダタの利己的な心が罰を受けたと悟りました。極楽の蓮の花は変わらず美しく、昼近くの静けさが広がっていました。